1棟目

信頼できるパートナー(?)との出会い

不動産投資ではネットであれこれ悩んでいるよりも、現地に足を運んでみた方が思いがけない情報を入手できることがあります。

神奈川県某所への区分マンション見学

ある土曜日、ネットで見つけた300万円の区分マンションを見学しに、現地へ行きました。初めて降りたその駅は、周辺に大学が多くあり、大学生の需要が見込めそうな場所でした。しかし、駅前は寂しいシャッター商店街になっており、お店もコンビニやファーストフード店が数店ある程度の場所でした。

現地見学といっても、不動産業者に内見の依頼はしていなかったので、物件を外から眺めるのみでした。そのまま帰るのも勿体ないと思い、近くにある不動産業者をGoogleマップで検索し、突撃訪問してみました。

不動産業者への突撃訪問

不動産業者の入り口扉を開けて入ると「いらっしゃいませ!」と明るく迎えられたかというと、全然そんなことはなく、奥の方でスーツを着た男性が紫煙をくゆらせていました。「今どき店内でタバコ?しかも、お世辞にも良い物件を紹介してもらえそうな店の雰囲気ではなさそう・・・」と後悔しましたが、既に店に足を踏み入れてしまったので、そのまま「あ、あの。この辺で投資用の区分マンションを探しているんですけど」と切り出しました。

最初はあちらも驚いた様子でしたが、「へえ、そうなんだ。飛び込み訪問するなんて勇気あるね」と話を聞いてもらえることになりました。

身長180センチほど、体格の良いその男性はその不動産屋の社長でした。ここでは仮に加瀬社長と呼びます。

加瀬社長のレクチャー

加瀬社長は経験の浅い私に色々と気さくに教えてくれました。

加瀬社長
加瀬社長
300万円の物件?そんなの買わない方がいいよ。儲からないし、出口も難しいよ
区分マンション買うんだったら、こんな物件がいいと思うよ

と言われ何件かマイソクを印刷してもらいました。
価格は1,000万円~2,000万円くらい。

筆者
筆者
ありがとうございます。この後時間あるので、現地を見に行ってみますね

話をする中で、加瀬社長と私は奇遇なことに同い年であることが判明しました。どう見ても年上にしか見えなかったのですが。

加瀬社長
加瀬社長
ここで出会ったのも何かの縁だね。年も同じだし、不動産のことなら、気軽に聞いてよ。おれのLINE教えておくね

と言ってもらえました。

予想しなかった加瀬社長との出会いに「不動産投資は行動してなんぼ、というのはこういう事か!」と興奮しました。

その後、実際にネットで良さそうな物件を見つけて加瀬社長にLINEで相談してみました。

加瀬社長
加瀬社長
家賃68,000円だと難しいかな。もしやるとするなら和室を洋室にリフォームして、65,000円くらい。リフォーム費用込みで投資額は800万円くらいかな
筆者
筆者
ありがとうございます!やっぱり68,000円は厳しいですよね。洋室リフォームで家賃5,000円アップだとリフォーム費用の回収だけでも時間がかかりそうですね。勉強になりました

このようなやり取りが何回かありました。

加瀬社長に再び会いに行く

数日後、加瀬社長から次のようなメッセージを頂きました。

加瀬社長
加瀬社長
今度お会いした時にお話しようと思っているのですが、不動産投資で一番利益を出す方法が実際にはあります。考えれば簡単ですが、ほとんどの人はそれができないです。次回、お話しますね!

なんだか怪しい話の常套句みたいですが、これも勉強だと思い、メッセージをもらった次の週末に再び加瀬社長を訪れました。

不動産投資で一番利益を出す方法

次の土曜日、加瀬社長とは駅周辺のカフェで待ち合わせしました。

結論から言うと、加瀬社長のいう「不動産投資で一番利益を出す方法」とは、「土地を安く仕入れて高く転売する」ということでした。

加瀬社長は独自の土地仕入ルートを持っているらしく、仕入れた土地を更地にして実需に転売することで、数百~数千万円単位の利益を得ているとのこと。

加瀬社長
加瀬社長
きみも300万円の区分マンションなんか買ってないで、土地を転売した方が絶対儲かるよ。儲かる案件情報が入ったら紹介してあげるよ。同い年で、きみのように行動力のあるヤツと出会ったのも何かの縁だと思ってる。どうだい、おれのパートナーになって、一緒に資産を築いていかないか。
確実に儲かる案件の仕入ルートはあるんだけど、転売するのに銀行は資金を貸してくれないんだ。きみが短期融資に協力してくれるなら、相応の利益をシェアしたいと思う。もちろん、希望するなら土地の転売案件も紹介する

なんだか良く分からないけど、おいしい案件を紹介してもらえるならありがたいなと思い、「よろしくお願いします」と返事をしました。

すると、加瀬社長は目を潤ませて手を差し出してきました。
「えっ?なんで泣いてるの?」と思ったのですが、とりあえず差し出された手を握り返しました。

加瀬社長
加瀬社長
ありがとう。ごめんね、突然感情的になってしまって。信じられないかもしれないけど、腹を割って話せるパートナーができたと思って感激してしまった

加瀬社長からの依頼

週明けに加瀬社長からLINEメッセージを受信しました。

先日は遠いところありがとうございました。案件のご案内です。

  • 短期貸付:500万円 こちらは最大6ヶ月間。オーナー利益は10%で、現金でお支払いします。
  • 土地転売:50坪の土地の転売案件です。今度、売主と交渉してきます。まとまり次第、一番にお声がけさせて頂きます。転売利益は私と折半です。

このメッセージを受けて、貸付金のご依頼は早々にお断りしました。

2回あっただけの加瀬社長に無担保で500万円を貸し付けるというのはあり得ないと思った為です。後者の土地転売利益を折半する話は、具体的な内容が見えていなかったものの、「もし可能であれば紹介してください」と返事しました。

加瀬社長
加瀬社長
案件は間違いなく紹介します。約束したことはきっちり守ります。これ以上は恥になるから言わないけど、何とか200万円ほど都合つけてもらえないでしょうか。返済根拠は4ヶ月後に入ってくる売掛金5,000万円です。名前を伏せれば根拠のコピーを提示できます。それと、自宅の登記簿謄本。これは差押担保として。それでも難しい?

加瀬社長が私を騙そうとしている訳ではないにしても、やはりリスクが高すぎます。そのため、次の通り返事をしました。

筆者
筆者
ご連絡頂き誠にありがとうございます。加瀬社長にご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。本件については家族に猛反対されており、金額の多寡に関わらず参加させていただくことが難しくなってしまいました
加瀬社長
加瀬社長
こちらこそ無理行ってごめんね。腹を割って話せるパートナーができたと思って浮かれてたよ。約束はしっかり守るので、今後も良い情報は一番に流させてもらいます。よろしくお願いいたします

予想していた通り、その後、加瀬社長から物件情報をもらうことはなく、音信不通となりました。加瀬社長には期待させてしまい申し訳なかったですが、良い経験になりました。